肝機能は衰えることで、他の内臓の病を引き起こしてしまうことがあります。
そのため健康診断では、肝数値が比較的良くても他の値も見逃してはいけません。ここではその中でも腎機能とのかかわりを取り上げます。
腎機能と肝機能の関わり
肝臓と特に合わせてチェックしたいのは腎臓。
腎臓の役割は、老廃物を体から出す、血圧を調整する、血液を作る命令を出す、体液量やイオンバランスを調整する、強い骨を作るなどがありますが、もし生活習慣病があると肝機能も腎機能も衰えてしまうのです。
肝機能が衰える原因として多いのが、飲酒、偏った食事など。肝臓に脂肪がついた脂肪肝の状態になることで、メタボリックシンドロームとなれば、高血圧や高血糖の状態になります。
これは腎機能低下の要因でもあるため、この状態が長く続けば、慢性腎臓病(CKD)の疑いも。ゆくゆくは脳卒中や心筋梗塞、末期腎不全による人工透析が必要になることもあります。
尿素窒素(BUN)の値に注目
健康診断では腎機能の状態を尿素窒素(BUN)から判断することができます。
尿素窒素は通常腎臓でろ過されますが、腎不全の状態だとその機能が衰えてしまい、ろ過できなかった分が血液中に残ります。
そのため腎臓に異常があると尿素窒素の値が高くなるのです。そのほかに値が高くなる原因としては、タンパク質のとりすぎや、脱水症状、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍などでもみられます。
一方で値が基準値より低い場合は、タンパク質不足の可能性が。また、尿素を作っている肝臓の機能が衰えているときも値が低くなるため、重症肝障害、肝不全などの可能性もあります。
尿素窒素の基準値:8~21mg/dl(性別、年齢、季節等で変動あり)
目安として、40mg/dl以上で腎不全の疑いが、100mg/dl以上で尿毒症の疑いとなり危険な状態となります。
腎機能を改善させるには
生活習慣病が原因であることがわかっているのなら、これを改善するのが一番です。
肝機能も合わせて数値が悪いということなら、お酒を控える、休肝日をもうける、食生活を徹底的に見直すなどの対策を行いましょう。
今まで大丈夫だったから、そんなに焦らなくても大丈夫、と考えている人もいるかもしれませんが、もし病に悩まされるようになってしまえば、今まで通りの生活が送れなくなる可能性もあります。
まだ大きな症状に悩まされていない今のうちに、ぜひ改善を心がけるようにしましょう。