社会に出ると、プライベートな時間にお酒を楽しむほかに、新年会や忘年会、歓送迎会、接待など付き合いでお酒を飲む機会が増えますよね。翌日は二日酔いで大変だったなんて経験がある方も多いのではないでしょうか。
みなさんは、体内に入ったアルコールがどのように抜けていくのかご存知ですか?
今回は、摂取したアルコールがどのように体の外へ排出されているのかご紹介しましょう。
肝臓は人体の解毒工場
体内に入ったアルコールは、吐息や尿として排出されていると思っている方も多いのですが、実は吐息や尿として排出されているアルコールは、摂取したアルコールの10%未満。
多くのアルコールは、肝臓で有害物質と判断され、人体にとって無害になるように解毒してから体の外に排出されています。
分解を繰り返し排出される
お酒を飲み始めて体内にアルコールが入ると、肝細胞の中にあるアルコール脱水素酵素(ADH)と呼ばれる物質がアルコールを酸化させ、アセトアルデヒドに変化させます。
ところが、飲酒量が増え血液に含まれるアルコール濃度が高まると、アルコール脱水素酵素だけでは処理しきれなくなってしまいます。
そこで、肝細胞の中にあるミクロソーム・エタノール酸化系(MEOS)もアルコールをアセトアルデヒドに変える働きを始めます。
こうして作られるアセトアルデヒドですが、実はアルコールより強い毒性を持っているのです。
そのため、肝細胞内のひとつミトコンドリアに含まれるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により、すぐに酢酸に分解されます。
酢酸はさらに水と炭酸ガスに分解されて、血液中に排出されていくのです。
日本人はお酒に弱い?
これらの一連の処理にかかる時間は個々により異なりますが、1時間で処理できるアルコール量の平均は「体重1kgあたり100㎎」とされています。
体重60kgの人が大瓶のビール(633ml)を1本飲んだ場合、体内のアルコールを処理するのにおよそ3時間かかる計算です。
大瓶のビール(633ml)1本は、日本酒だと1合、焼酎だとおよそ3合、グラスワインに換算すると6杯ほどです。
数字として見てみると、飲み会の翌朝お酒が抜け切れていないのも納得ですね。
上に示した数字は、あくまで平均ですが、日本人はお酒に弱いと言われているのをご存知ですか?
これは、遺伝的に日本人はアセトアルデヒドを酢酸に変える力が弱いことが原因となっているからなのです。
肝臓の負担を少しでも軽くするためにできること
これらのことから、アルコールの影響を翌日まで受けないようにするためには、アルコール濃度が比較的低い蒸留酒やビール、日本酒、ワインがおすすめです。
また、同じアルコール量でも飲み方によっては肝臓への負担を軽減することができます。
アルコール度数が15度以上ある焼酎などは、ストレートで飲まずに水やお湯などで割って飲むと肝臓への負担を軽くできます。
そして、忘れてはいけないのがおつまみの存在。
おすすめは、肝臓に良いとされる栄養素が含まれるおつまみです。これをお酒を飲む前から少しずつ食べておくと良いでしょう。
もちろん、肝臓を休ませるために休肝日を設けることも大切です。理想は、数日の間隔をあけて週に2日。
あなた自身の肝臓の健康のために、ぜひ取り入れてみてくださいね。
薬を服用しているときにお酒を飲むと薬の効果が弱まってしまうことがあります。
肝臓で薬の解毒を行っているところへアルコールが入ると、解毒が追いつかずに、体調を崩したり、病気を悪化させる原因にもなりかねません。
薬を服用しているときは、お酒を控えましょう。