肝臓とお酒の関係

お酒に対する強さの違いはどこにあるの?

カクテル

あなたはお酒に強いですか?弱いですか?

社会人になると付き合いで飲むことが増えるお酒の席。お酒が好きで楽しみな人もいれば、まったく飲めないためにお酒の席が苦手な人もいますよね。

このお酒に対する強さの差はどこにあるのでしょうか?

アセトアルデヒド脱水素酵素による体質の差

日本人はお酒が弱いと言われています。

日本だけで見ても、ものすごくお酒に強い人もいれば、まったくお酒を飲めない人もいますよね。

このお酒に対する強さの違いは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によるものです。

体内に入ったお酒の中のアルコール成分は、胃や腸から吸収されて、肝臓に運ばれてきます。

そこで、アルコール脱水素酵素の働きにより、アルコールはアセトアルデヒドへと分解されます。

アセトアルデヒドは、そのままでは毒性が強いため、さらに酢酸に分解されます。その役割を担っているのがアセトアルデヒド脱水素酵素です。

アセトアルデヒド脱水素酵素は、517個のアミノ酸からできています。その487番目のアミノ酸を決定する塩基配列の違いにより、3種類の遺伝子多型に分かれています。

この遺伝子多型がお酒に対する強さの差に現れているのです。

3つの遺伝子多型

さっそく3つのタイプをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

お酒に強いGGタイプ

グアニンをふたつ持っているタイプです。アセトアルデヒドを素早く分解できるため、アセトアルデヒドの毒性をほとんど受けることがありません。

しかし、アルコールによる脳の麻痺を自覚することもないので、アルコール依存症を引き起こす危険性が高いことが特徴です。

実際に、日本のアルコール依存症患者のおよそ9割は、GGタイプだということが分かっています。

余談ですが、欧米の白人、黒人はすべてGGタイプだと言われています。

お酒に弱いAGタイプ

グアニンのうちのひとつがアデニンに変化したタイプで、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きは、GGタイプのおよそ1/16。そのため、アセトアルデヒドの毒性が体内にとどまる時間が長く、お酒に弱い傾向があります。

悪酔いや二日酔いになりやすいのがこのAGタイプ。

GGタイプと同じ量のアルコールを摂取したと仮定した場合、アルコール性のがんを発症する確率は、GGタイプのおよそ2倍にもなると言われています。

咽頭がんや大腸がんのリスクが高まることも特徴です。

飲酒を繰り返すことでお酒を飲めるようになることもありますが、アセトアルデヒドの毒性の影響を長く受けてしまうため、肝臓の疾患に一番注意が必要なタイプだと言えます。

お酒を飲めないAAタイプ

ふたつのグアニンがどちらもアデニンに変化したのがAAタイプです。アセトアルデヒドを分解する能力がほとんどないため、お酒を一切飲むことができないタイプです。

お酒を飲めるように訓練しても改善しないことが特徴で、消毒用のアルコールやお菓子類に含まれているブランデーなどにも反応することがあります。

オーストラリアの原住民であるアボリジニにはAAタイプが多いことが分かっているため、オーストラリアでは、アボリジニの居住区に酒類を持ち込むことを法律で禁じています。

私たちの住む日本では、東北や九州など東西の地域でGGタイプが多く、中間部の三重県や愛知県などではGGタイプが少ないことが分かっています。

アルコールの悪影響を受けないためにも、自分がどのタイプなのかをしっかりと見極め、タイプに見合ったお酒の飲み方をすることが大切です。

特にAGタイプの方は、自分で思っている以上にアルコールの影響を受けてしまう体質であることを忘れずに、お酒を飲む量や飲み方に気をつけて、定期的に血液検査を受けるようにしましょう。

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